記事のポイント
- EUは、森林破壊を防止するため企業にデューディリジェンスを義務化した
- 輸出国では合法木材だとしも、森林破壊に関与していないか調べる必要がある
- 牧畜、パーム油、牛肉、コーヒー、カカオ、ゴム、大豆も対象だ
EUに森林に関わる新たな制度が誕生したことを知っているだろうか。EUDR(森林破壊防止のためのデューディリジェンス義務化)である。この内容の先進性は驚くばかりだ。その前に、これまでの流れを紹介しておこう。(森林ジャーナリスト=田中 淳夫)

2013年にEUTR(EU木材規則)と呼ばれる制度が施行された。これはEU圏内で生産もしくは同圏内に輸入される木材や木材製品は、違法伐採ではないことの証明を必要としている。そのため確認(デューディリジェンス)が必要で、違反した場合の罰則も設けるよう加盟国に義務づけている。
米国の改正レイシー法や、オーストラリア、韓国などの違法木材禁止法とほぼ同様で、違法木材だけでなく、合法であることを確認できないグレー木材も締め出している。
だが、EUはそれで満足していなかったようだ。今回のEUDRは、輸出国の法律は犯していない木材でも、森林破壊に関与していないか調べる義務があり、確認できないものは輸入しないというのだ。
しかも対象は木材だけではない。現在上げられているのは、木材に加えて牧畜、パーム油、牛肉、コーヒー、カカオ、ゴム、大豆である。さらに加工品の皮革、チョコレート、家具、印刷紙、化粧品などパーム油製品にも適用される。
■合法証明や森林認証では不十分に