記事のポイント
- 米モンタナ州で16人の若者が気候変動訴訟を起こした
- 地裁は、化石資源開発を容認する州法が、同州憲法に違反するとの判決を下した
- こうした気候変動に関する訴訟は世界各地で増加している
米モンタナ州の地方裁判所はこのほど、化石資源開発を容認する州法が、同州憲法に違反するとの判決を下した。原告は16人の若者で、州憲法で保障された「清浄で健康的な環境に対する権利」が侵害されているとして、モンタナ州を訴えた。こうした気候変動に関する訴訟は世界各地で増加し、国連の報告書によると、2180件の訴訟が提起された。(オルタナ副編集長=吉田広子)

米モンタナ州出身の5歳から22歳までの若者16人は2020年3月、モンタナ州に対して提訴した。米国の弁護士らによるNGO「アウア・チルドレンズ・トラスト」が支援した。
原告は、「モンタナ州は、同州の気候変動政策法(MEPA)などに基づき、温室効果ガス(GHG)の排出量や気候への影響を分析せずに、化石資源開発を認可している。その結果、気候変動を悪化させ、州憲法で保障された州民の権利を侵害している」と主張した。
モンタナ州は1972年に州憲法を定め、第9条で「州と個人は、現在と将来の世代のために清潔で健康的な環境を維持し、向上させる責任を負う」としている。
8月14日に判決が下り、その後60日以内に州が控訴するかどうかを決定する。
こうした気候変動訴訟は、世界各地で増えている。国連環境計画(UNEP)と米コロンビア大学は7月、65の管轄区域で2180件の気候変動訴訟が提起されているとの報告書を発表した。2017年の884件、2020年の1550件から着実に増加しているという。
日本では、神戸市民が神戸製鋼火力発電所の建設を巡り、神戸製鋼、その子会社のコベルコパワー神戸第二、関西電力を訴えた。原告は、発電所の建設と稼働の差し止めを求めている。2023年10月に控訴審が開始する予定だ。