記事のポイント
- 青山商事が主力シャツでカーボンフットプリント(CFP)の表示を始めた
- 環境担当者の工夫で短期間でのCO2排出量の算定を可能にした
- 第三者検証機関であるSGSジャパンの検証も行い、より信頼性を高めた
青山商事は12月22日、主力シャツで原料調達から廃棄・リサイクルまでのCO2排出量である「カーボンフットプリント」(CFP)の表示を始めた。アパレル業界でCFP表示は珍しい。第三者検証機関であるSGSジャパンの検証も行い、より信頼性を高めた。(オルタナ編集部・下村つぐみ)

レジ袋削減枚数に換算するなど消費者に分かりやすい表示を行った
CFP表示を始めたのは、主力製品の「ノンアイロンマックスシャツ」。シャツの原料調達や縫製を担当する「日清紡テキスタイル」とともにCFPを算定した。
カーボンフットプリント(CFP)は製品のライフサイクルでのCO2排出量の総量を指す。原材料の調達、生産、流通・販売、使用・維持管理、廃棄・リサイクルの各工程で排出されるCO2を合計して算出する。
青山商事は2021年に環境方針を策定し、GHG排出量の算出を進めてきた。同社は、2013年比でスコープ2におけるCO2排出量の30%削減を目標に掲げる。
「ノンアイロンマックスシャツ」は100%綿素材で、特定の有害物質が含まれない安全な繊維製品を証明する、世界最高水準の認証「エコテックス スタンダード100」を取得した。シワが付きにくく、アイロンがけをしなくていいことで節電にも寄与する。
同プロジェクトが発足してから、約1年という短い期間で、同製品へのCFP表示は実現した。
「ノンアイロンマックスシャツ」のCFPは、1枚当たりメンズが9.66キログラム/CO2eq、レディスで8.72キログラム/CO2eqだった。最も環境負荷が高い工程は、「流通」だった。
青山商事の有村泰彦・商品部グループ長は、「従来の素材開発では、日清紡テキスタイルの営業部と青山商事の商品部で行う。だが、今回は、日清紡テキスタイルの環境担当者、青山商事の広報部、総務部の環境担当者が加わり、お互いの環境データを持ち寄って、会議を行った。これにより、企業間をまたがった商品のCO2排出量データの集計をスムーズに行えた」と話した。
「ノンアイロンマックスシャツ」は、日清紡テキスタイルが所有するインドネシアの工場で、原料の調達から生産まで一括して作られており、これも短期間でのCO2排出量の算定に寄与した。
同社は、まず同社HPにCFPを掲載した。今後、製品タグへの表示導入や、各段階での具体的なCO2排出量削減施策について、バリューチェーン全体で検討していくという。
有村泰彦・商品部グループ長は、「まだまだCFPは消費者へ普及しているとは言えない。CFPの対象商品を増やし、お客様の環境配慮に関する商品選択の一助となるよう取り組んでいきたい」と語った。