
ドイツ在住の医学博士で、ピアノ演奏家の古屋晋一氏が明らかにする「ピアノと脳の関係」。絶対音感や暗譜の仕組みをはじめ、ピアニストの指が思うように動かないのはなぜなのか。多様な実験を通して図解入りで解明した『ピアニストの脳を科学する』(春秋社)は、一般の人にもわかりやすい。
手には27本の骨と39の筋肉がある。これを巧みに動かしてピアノを演奏するのだが、目で見た楽譜を脳で理解し、指の動きとして表現するという高度な技術が必要とされる。
「ピアノの前に座ると指が動かない」「思っているのと違う指が動いてしまう」という現象がある。ストレスや気のせいだと思われがちだが、多量の練習により脳が変容し、指に出す指令がごっちゃになっていることがわかった。
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