
ミャンマーは世界の中でも国際社会、経済、政治、社会の発展から取り残された数少ない国のひとつである。時は1960年代初期から停まったままで、体制の移行、改革や民主化の進展がここに来て世界から監視され、奨励されている。(CSRアジア プロジェクト・マネージャー・ミリアム・ツィーガー、監訳:CSRアジア シニア・プロジェクトマネージャー・高橋佳子)
以前は民主国家で経済繁栄していたミャンマーであったが、1962年にネ・ウィン率いる厳戒な軍事政権になり、長年にわたる孤立と管理体制の不備、汚職と縁故主義で、ミャンマーは世界で最も開発が遅れた貧しい国のひとつになった。同時に裕福で強力なエリート集団も現れた。
しかし、ミャンマーの風向きは変わり、テイン・セイン大統領が進める民主化政策によってさまざまな改革に着手し、外交も開始、経済復興への扉も開いた。ミャンマーへの投資に関心をもつ企業も増えたが、金融、法律上、そして会社の評判へのリスクから及び腰だ。前進は見られるものの、ミャンマーの社会、政治、経済開発上、企業が直面する課題や欠点は数多い。中でも次に挙げる点は社会責任ある企業にとって難題である。
1.民族間の衝突が長く続いていて、今年始めに停戦協定が結ばれたにもかからず、ミャンマー中部などでは仏教徒とイスラム教徒の間で暴動が起き、死者を出している。
2.人権侵害はミャンマーの14の州・地域のすべてで依然として続いている問題であり、強制労働、拷問、非人間的で侮辱的な扱い、腐敗した独断的課税制度や恐喝も続いている。
3.経済の衰退と停滞によって、交通、電気や通信、上下水道など国全体のインフラは未開発で不十分である。