記事のポイント
- 環境NGOが「化石燃料ファイナンス報告書2024」(第15版)を公表した
- 世界の主要銀行60行による4200社以上の化石燃料産業への融資・引受を調査
- パリ協定採択以降、化石燃料産業に約1千兆円を提供したことが分かった
環境NGOの3団体はこのほど、新たな報告書「化石燃料ファイナンス報告書2024――気候カオスをもたらす銀行業務」(第15版)を発表した。調査の結果、パリ協定採択後の2016年から2023年の間に、世界の主要民間銀行60行は、化石燃料産業に約6.9兆米ドル(約1千兆円)を提供したことが分かった。(オルタナ副編集長=吉田広子)

同報告書は、米環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、気候ネットワーク、国際環境NGO 350.org Japanがまとめた。世界の主要民間銀行60行による4200社以上の化石燃料産業への融資・引受を調査した。
同報告書によると、パリ協定採択後の2016年から2023年の8年間に、銀行から化石燃料産業に約6.9兆米ドル(約1千兆円)が提供された。そのうち約半分の約3.3兆米ドル(約516兆円)が化石燃料拡大のために投入されたという。
最も資金提供額が大きかったのは、JPモルガン・チェース(4309億ドル、約67兆円)で、続いてシティグループ(3963億ドル、約62兆円)、バンク・オブ・アメリカ(3332億ドル、約52兆円)と続いた。
日本の銀行は、4位にMUFG(3077億ドル、約48兆円)、6位にみずほ(2725億ドル、約42兆円)、9位に三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ、2122億ドル、約33兆円)だった。
2023年の「化石燃料全部門」では、60行の合計資金提供額は前年比で9.5%減だったが、みずほは約5%増加。一方、2022年まで3行の中で最多額を提供していたMUFGは前年比で12%減少した。
RANリサーチ&方針マネジャーのエイプリル・メルロー氏は、「気候への影響が記録的となった2023年に、化石燃料の各部門で資金提供が増加したことに、衝撃を受けた。銀行の化石燃料への資金提供は十分な速さで減少していない。気候変動に関する実際の公約とも矛盾している」と指摘した。