■オルタナティブの風(31)
近年、人口減少による税収の低下、職員の不足によって、本来、行政が提供すべき公的サービスが、十分に提供できない自治体が増えている。
こうした時代だからこそ、政府や自治体の行政も、抜本的なパラダイム転換を図るべきであろう。
例えば、英国トニー・ブレア政権の時代、首相のブレーン、アンソニー・ギデンズが、社会民主主義でも新自由主義でもない「第3 の道」(TheThird Way)を提唱し、「公的サービスは、必ずしも『官』が担う必要はない、『民』が担うことでも良い」という思想に基づき、非営利組織(NPO)や市民団体などにその役割を担ってもらう政策を推進した。
実は、その後、世界的潮流となった社会起業家(Social Entrepreneur)や社会的事業(Social Enterprise / SocialBusiness)は、この政策を一つの源流として生まれてきたものであった。
しかし、この政策にも限界があった。それは、政府や自治体が、民間の資金や人材、ノウハウを行政に活用しようとしたにとどまり、歴史を通じて人類社会を陰で支えてきた「目に見えない経済と資本」を積極的に活用しようとしなかったことである。