オルタナ77号「農業トピックス」49

「食料・農業・農村基本法(農業基本法)」改正案が5月29日、参議院で可決・成立した。 同法は「農政の憲法」といわれ、1961年に制定された。本格的な改正は、1999年以来25年ぶりだ。
背景には、ウクライナ戦争による食料価格の高騰や気候危機の顕在化、農業人口の減少がある。これを受け、改正案は「食料安全保障」、「環境対応」、「生産性向上」、「農業インフラの維持」の4つの方向性を打ち出した。
重要課題の安全保障では「安定的な輸入」や「輸入相手国への投資促進」を掲げる。これに対し、一部の野党などからは輸入頼みを加速させると懸念の声が上がる。
特に「食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する事項の目標」を定めるとする規定が、自給率を指標の一つに格下げし後退させると指摘する。
日本の自給率は38%(2020年/カロリーベース)と50年で半減し、目標の45%を一度も上回っていない。