みずほ、GHG排出目標に「ガス液化」「石油精製」を追加

記事のポイント


  1. みずほは、GHG排出中期目標にガス液化と石油精製を追加した
  2. 目標はNZBA加盟銀行に求められる
  3. 石油・ガスセクターのバリューチェーン全体カバーが狙いだ

みずほフィナンシャルグループは10月11日、石油・ガスセクターにおける投融資を通じたGHG排出中期目標を改定した。上流⽣産(探鉱・開発・⽣産) に、下流の「ガス液化」と「⽯油精製」を加えた。バリューチェーン内の重要な排出源をカバーすることが狙いだ。(室井 孝之=オルタナ総研フェロー)

みずほフィナンシャルグループ「気候・自然関連レポート2024」

同グループは石油・ガスセクターのバリューチェーンにおいて、GHG排出割合の特に高い上流⽣産(探鉱・開発・⽣産) に、「ガス液化・石油精製」を主たる事業とする企業・プロジェクトの⾃社排出(Socpe1・2)目標を追加した。

これにより、石油・ガスセクターのバリューチェーン内の重要な排出源をほぼすべてカバーする。

同グループは石油・ガスに加え、電力、石炭採掘(一般炭)、鉄鋼、自動車、海運、不動産の7つのセクターのGHG排出中期目標(目標年: 2030年度)を設定している。

みずほフィナンシャルグループは、銀行の脱炭素化を目指す「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」に署名している。

Net-Zero Banking Alliance(NZBA)は2021年4月、43銀行が中心となり設立された、ネット・ゼロのためのグラスゴー金融アライアンス(GFANZ)の銀行部門版である。

2024年1月時点では、グローバルで140行が加盟し、日本からはMUFG、SMFG、みずほFG、SMTH、野村HDの5行が加盟している。

NZBAは、企業戦略をパリ協定の気温上昇1.5℃に抑える目標と整合させること、銀行のファイナンシングが気候変動に与えるインパクトを管理することを目的とし、目標は銀行のポートフォリオ全体でのCO2排出量を2050年までにネットゼロにすることである。

署名行は、炭素集約型セクター向け投融資のfinanced emissionsの中間目標の設定が求められている。

NZBAが定める炭素集約型セクターは、農業、アルミ、セメント、石炭、商業用不動産・住宅、鉄鋼、石油・ガス、発電、運輸の9セクターである。

みずほフィナンシャルグループ 「気候・自然関連 レポート2024」の「CEOメッセージ」では、「2050年脱炭素社会の実現に向けて、「実体経済の移行への貢献」、「ビジネス機会の獲得」、「リスクの適切な管理」 の3つの観点を重視し、ネットゼロ移行計画のもと、様々な取り組みを統合的に推進している」、「「実体経済の移行」の観点では、投融資を通じた排出量(Scope3)について、2024年4月までに計7つのセクター別の中期目標を設定しており、Net-Zero Banking Alliance(NZBA)のガイドラインに基づく初期目標設定を完了した」と強調している。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #脱炭素

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