
リンゴを切ると、淡く黄色がかった果肉が露わになる。ごく当たり前のことだ。ところがこのリンゴは、中の果肉までもが赤い。青森県五所川原市で18年ぶりの新品種となった「栄紅」(えいこう)だ。これを地元が世界にも通用するリンゴとして育て、売り出そうとしている。プロジェクトをサポートしているのは、日立製作所だ。
「栄紅」はただ果肉が赤いだけではなく、糖度は「ふじ」と同程度で、ポリフェノールがふじの8倍含まれているなど、栄養面でも優れている。11月22日に地元で開いた初めての一般向け試食会では「王林やジョナゴールドのような味で、さっぱりしている」などの声が上がり、好評だった(11月23日付け東奥日報)。
栄紅は現在、苗木の育成中で、5年後の2019年に初の出荷を目指している。それまでに栄紅のファンを増やそうと、いまは「応援サポーター」を募集中だ。今年10月の豊洲マラソン(東京)にも五所川原のブースを置き、サポーターを募った。来年からは、栄紅の「オーナー制度」も始める計画だ。
普及品のリンゴが1個80円以下のところ、栄紅は1個800~1000円を目指す。五所川原農林高校(五農高)の佐藤晋也校長(60)は「栄紅を2015年のミラノ万博に持って行きたい。そして世界に広めたい」と期待を込める。