記事のポイント
- 地球温暖化により、北半球で冬の最低気温が0℃を下回る「冬日」が著しく減少した
- 米調査では、過去10年間、世界で最も冬日が減った都市が静岡県富士市だった
- 富士市は年平均35日減ったほか、日本全体で見ても8日以上冬日が減った
地球温暖化により、北半球で冬の最低気温が0℃を下回る「冬日」が著しく減少したことが、米非営利研究機関クライメート・セントラルの調査結果で明らかになった。世界の中で、最も「冬日」が減った都市は、静岡県富士市となり、年平均で35日、冬日が減った。日本全体では、平均して毎年8日間、「冬日」が減ったことも明らかになった。(オルタナ副編集長=北村佳代子)

米非営利研究機関クライメート・セントラルは、2014年~2023年の10年間にわたって、123か国901都市の冬の最低気温を調査した。その結果、気候変動により、冬の温暖化も著しく、44か国で少なくとも7日以上、「冬日」が減少したことが明らかになった。
1日の最低気温が0℃に満たない「冬日」が、最も減少した都市が、静岡県富士市だ。2024年11月7日に観測された富士山の初冠雪は、統計開始から130年で最も遅い観測となったことも記憶に新しい。
富士市に続き、タジキスタンのフジャンド、イタリアのトリノとヴェローナ、ノルウェーのベルゲン、ラトビアのリガも、「冬日」が年平均で1か月以上減った。
クライメート・セントラルのクリスティナ・ダール科学担当VPは、調査結果の発表に際し、次のようにコメントした。
「季節の変遷で特徴的だった雪や氷、寒さは、多くの場所で急速に姿を消しつつあり、生態系や経済、文化的な伝統を脅かしている。冬の凍えるような寒さは、冬のレジャーやスポーツに必要な雪や氷を維持し、淡水の水源となる雪の層を補充し、植物、動物、昆虫の生命サイクルを維持するために不可欠だ」
「冬の温暖化を防ぐためにも、気温上昇の主要因である石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料を早急に段階的に廃止することが極めて重要だ」(ダールVP)
■日本は平均して年8日間「冬日」が減少
クライメート・セントラルは、日本全体で平均して年8日間、「冬日」が減ったことも明らかにした。
同調査によると、冬日が20日以上減った都市は以下の通り:
・静岡県富士市(▲35日)
・埼玉県深谷市(▲25日)
・新潟県長岡市/広島県広島市/栃木県足利市(▲23日)
・京都府京都市(▲21日)
・埼玉県上尾市/埼玉県ふじみ野市/愛知県名古屋市/東京都足立区/東京都荒川区/東京都練馬区/埼玉県さいたま市/東京都世田谷区(▲20日)

■冬の温暖化がもたらす影響は