記事のポイント
- キリンと日立製作所は高品質のカーボンクレジットの実現に向け手を組んだ
- 森林の炭素固定能力の最大化を狙い、森林由来クレジットの共同研究を行う
- GHG吸収量を適切に測定していない森林由来クレジットが問題視されていた
キリンホールディングスと日立製作所は、高品質の森林由来カーボンクレジットの創出に向け、共同研究に取り組む。世界の温室効果ガス(GHG)排出量は約574億トン(2022年)で過去最高値を記録した。両社は高品質の森林由来クレジットを創出する仕組みをつくり、森林の炭素固定能力の最大化を狙う。(オルタナ副編集長=池田 真隆)

UNEP(国連環境計画)が公表した「エミッションギャップレポート 2023」によると、2022年の世界のGHG排出量は約574億トンで過去最高値を記録した。一方、大気中のGHG削減に寄与する森林の総炭素吸収量は日本国内でも減少傾向にある。
その原因の一つが、森林の高齢化による成長の鈍化だ。そこで、キリンと日立製作所はタッグを組み、森林の炭素固定能力の最大化を狙う。
両社は3月に高品質の森林由来カーボンクレジットの創出に向けた、共同研究に取り組む契約を交わした。キリンが持つ植物を増殖させる技術と、日立製作所のデジタル技術を使って、GHG吸収量の適切な測定と報告を目指す。
カーボンクレジット市場は盛り上がりを見せるが、GHG吸収量について適切な測定が行われていない、「ジャンククレジット」も増えている。ジャンククレジットを購入して、自社のGHG排出量の削減を主張することはグリーンウォッシュになる。そのため、高品質の森林由来カーボンクレジットの需要は高まっている。
共同研究では、炭素固定量の測定や生物多様性保全の定量化に取り組む。