記事のポイント
- 環境省は3月31日、一次データを活用したGHG算定ガイドを公開した
- 環境省がGHG算定のガイドラインで一次データを推奨したのは初めて
- 新ガイドラインでは一次データで算定しないと削減できないことを強調した
環境省は3月31日、一次データを活用した温室効果ガス(GHG)排出量算定に関するガイドラインを公開した。環境省がGHG算定のガイドラインで一次データを推奨したのは初めて。新ガイドラインでは、製品ベースの算定を最も精緻な一次データでの算定と位置付けた。(オルタナ副編集長=池田 真隆)
新ガイドラインでは、一次データで算定しないとGHGが削減できないことを強調した。これまでのガイドラインでは、「活動量(売上高・取引高など)×排出原単位」という二次データを活用した算定を主な算定方法として紹介していた。
二次データだと、製品や素材ごとに排出原単位が決まっているが、その製品が再生可能エネルギーで作られた場合でも、そのことは考慮されない。低炭素製品は価格が高いこともあり、二次データの算定方法だとGHG排出量が多くなってしまうこともあった。企業からは、「削減努力が反映されない」という声が出ていた。
一方、一次データだと調達した製品や素材に伴うGHG排出量をもとに算定に取り組むので、その製品が低炭素製品であればあるほど、削減につながる。さらに、サプライチェーンのどの部分が最もGHG排出量が多いか把握できるので、削減戦略も組み立てやすくなる。
当初、このガイドラインは昨年3月末に出す予定だったが、一次データの取り扱いについて各業界で意見が割れ、環境省として意見を集約することができなかった。
ガイドラインの策定を担当した、環境省の杉井威夫・地球温暖化対策課脱炭素ビジネス推進室長は、「二次データの算定方法だと、購入量を減らさないと削減できない。それは求めていない。生産量を増やしながら削減もして欲しい。そのために一次データの活用方針をまとめた」と話した。
・環境省のスコープ3算定に関する新ガイドラインはこちら