カリフォルニア州知事、トランプ関税の貿易への打撃に独自策

記事のポイント


  1. 米カリフォルニア州の知事は、トランプ関税の貿易への打撃に独自策を示す
  2. 「カリフォルニア州は首都ワシントンD.C.ではない」と発信
  3. 各国の報復関税で、同州経済が受ける打撃を最小化したい考えだ

米カリフォルニア州のニューサム知事は現地時間の4月4日、トランプ関税で打撃を受ける貿易に独自策を打ち出す考えを明らかにした。州政府に貿易拡大のための新たな機会を探るよう指示し、世界中の貿易相手国に、カリフォルニア州は安定した貿易パートナーであり続けると発信した。各国からの報復関税で州経済が受ける打撃を最小限に抑えたい考えだ。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

カリフォルニア州知事は、トランプ関税に対抗する独自策を打ち出す

ギャビン・ニューサム知事(民主党)は、次期米大統領選で、民主党選出候補者となる可能性が高い人物の一人だ。今年3月には、5000以上の企業・自治体が加盟する全米最大の気候有志連合「アメリカ・イズ・オール・イン」(AIAI)の共同議長にも就任し、トランプ政権と真っ向から対立する立場をとる。

州政府は4日、「カリフォルニア州は首都ワシントンD.C.ではない。ワシントンD.C.からどのような混乱が起ころうとも、今後も何世代にもわたって安定した信頼できるパートナーであり続ける」と発信した。

カリフォルニア州は、人口、経済規模ともに米国内で突出している。約4000万人の人口を抱える同州のGDPは、2024年、日本のGDPをも上回った。

ニューサム知事が打ち出す独自策がどう機能するかはまだわからない。

ホワイトハウスのクッシュ・デサイ報道官は、「ニューサム知事は、貿易よりも、手に負えないホームレス問題や、犯罪、州の住宅費用の高騰に焦点を当てるべき」として、知事の取り組みを「間違っている」と批判した。

一方、地元ロサンゼルス・タイムズ紙によると、報復関税の対象の決定などについて幅広い裁量権のある各国に対し、州がサプライチェーンを保護し、貿易相手国との協力機会を追求する姿勢があることを明らかにすることは意義があると政府関係者は考えている。

南カリフォルニア大学(USC)で国際貿易を専門にするジョナサン・D・アロンソン教授も、トランプ関税を阻止できなくとも、貿易相手国に対して、報復措置の対象から州内産業に打撃となる品目を外すよう説得する余地はあるとの見方を示した。

「他国の標的は米国であってカリフォルニアではない。カリフォルニアはそのしわ寄せを受けている」(アロンソン教授)

貿易相手国との関係強化に動いているのはニューサム知事だけではない。イリノイ州のプリツカー知事は4月1日、同州の主要輸出相手国であるメキシコを訪問し、メヒコ州とイリノイ州との間で経済協力を深める貿易協定に署名している。

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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