IUCN(国際自然保護連合)が定義する「絶滅のおそれのある野生生物のリスト」には、2014年11月時点で約2万2千種が登録されている。生物多様性の確保は喫緊の事項だ。本コラムでは、味の素バードサンクチュアリ設立にも関わった、現カルピス 人事・総務部の坂本優氏が、身近な動物を切り口に生物多様性、広くは動物と人との関わりについて語る。(カルピス株式会社 人事・総務部=坂本 優)

今年に入ってから東武動物公園や那須サファリパークなど、ホワイトタイガーの赤ちゃん誕生が相次いで伝えられた。来園者へのお披露目などの都度、新聞やテレビでも紹介され、私も何回か目にした。かわいい子トラの姿には、確かに癒される。
ホワイトタイガーは、トラの白変種である。普通のトラの芥子色の毛色が、白く変化したものだ。白変種は、種の生存戦略の中で、体色の選択肢の一つとして受け継がれてきたものと考えられている。雪や氷に覆われた世界では、白い毛色が生存に有利なことが多い。ホッキョクグマのように1年中白い生きものや、ホッキョクギツネ、テン、ライチョウのように冬季に体毛や羽毛が白く変わる生きものが珍しくない。