■私たちに身近な生物多様性(22)[坂本 優]
チョウトンボ
チョウトンボは、ほぼ全身が紺青のトンボだ。東京都心でも、夏、東京港野鳥公園の観察小屋から高い確率で観察することができる。陽射しの強弱、光線の反射角度によって、しっとりとした濃紺から、光り輝くメタリックブルーまで、様々な青の色合いの変化を見せてくれる。

観察小屋に限らず、園内の広場や水田、池周辺の歩道沿いでも蝶のように舞う姿を眺めることができる。しかし野外では黒い影のようにしか見えないことがむしろ多い。青く輝く姿を観察するには観察小屋の中から、近くの草やスイレンの葉に停まるのを待って、双眼鏡や拡大可能なカメラのレンズ越しにじっくり見るのがお勧めだ。
折れた茎の先端など比較的見つけやすい場所によく停まり、飛び去っても、しばらくするとまた同じ場所に戻ってくることが多い。
私自身そうだったが、図鑑に描かれているような青いトンボのイメージを持っていると、飛んでいる姿からチョウトンボと気づくのは難しい。詳しい人に同行して教えてもらえば、蝶のように舞う姿から、と言ってもチョウよりだいぶ高速で、比較的見つけやすいが、知らない同士だと、身近にいても黒い影程度の印象で、見過ごしがちなトンボだ。このコラムの写真を見て、こういうトンボがいたのか、とご覧になる方も少なからずいらっしゃるのではないか。