■私たちに身近な生物多様性(24)[坂本 優]
前回、「紋付き鳥」こと、ジョウビタキをご紹介し、紋付きという名前の由来となった翼の中央付近の白斑についてふれたが、掲載誌面によってはスペースの関係などで白斑が確認できる写真を掲載できなかった。ご要望を受け、改めて、ジョウビタキについて取り上げ、紋付き姿の写真も掲載していただくこととした。
写真A、Bは、山梨の実家で、閉めた窓ガラス越しに、農道を挟んだ柿畑に飛来したオスのジョウビタキを撮影したものだ。彼は、私を覗き込んだ後、胸元から尾羽の先端までオレンジに染まった羽毛を誇示するように顔を上げた(写真A)。しばらくすると、私の気持ちを見透かしたのか、くっきりと浮かび上がった白斑がよく見えるように体をねじる(B)など、いくつかのポーズをとってから飛び去った。

昔からの評判どおり「人懐こい野鳥」と実感された十数秒だった。
このジョウビタキと、ユーラシア大陸を二分するように、バイカル湖の西岸からヨーロッパにかけて分布する、近縁のシロビタイジョウビタキは、前回もふれたように、この白い部分がないことが、識別にあたっての大きなポイントだという。