
去る、3月21日に開催された、第7回目「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の授賞式に足を運びました。(山岡 仁美)
中小企業庁長官賞受賞のコーケン工業では、定年制を設けず66歳以上の従業員が全体の16.7%に及び、最高齢は87歳。といっても10代20代世代も多く、世代だけではなく、重度障がい者・知的障がい者も含め、まるで大家族のように経験や価値観を共有し、各々が公平に力を発揮できる組織風土を構築しています。
実行委員長賞受賞の新日本製薬では、従業員の成長や満足度に寄与する工夫にあふれ、途上国支援・文化活動・充実の社食他、障がい者雇用という観点ではなく、知的障がい者が永続的に力を発揮するための仕事・役割を捻出されています。
その中、大賞に匹敵する今年の経済産業大臣賞はTOTOでした。TOTOさんが、女性活躍推進に力を注ぎ、女性による商品開発はもちろん、伸び伸びと女性が力を発揮する風土確立をされていることは、社会的にも広く認知され、女性活躍推進のリーディングカンパニーのひとつでもあります。
それはもちろんのこと、全社離職率は0.8%。ノーマライゼーションとして好例の福岡県、北九州市との第三セクター「サンアクアTOTO」は、重度障がい者の雇用と活躍の場として、社会に一石を投じるものです。
例年、中小企業、小規模経営、地域産業、また、家族経営から継承を続ける企業などが受賞されることが多いのです。今年の受賞結果を見ると、TOTOさんのような大手企業こそが、社会的信頼度をあげるためのブランディングではなく、地に足をつけ、社会や地域、そして従業員に密着した配慮と適応を成さないと、存続も持続も危ぶまれ、企業としての価値を失う時代が始まっていることが感じられます。
つまりは、CSR/CSVの強化以前に、「人を大切にする」ことが重要なのです。
「良き品質を作る前に、良き人を作るのが理想」とは、TOTO 2代目社長の故百木三郎氏の言葉です。そのためには、企業が相当の本腰を入れることが欠かせず、それ無くして、品質も作れず、さらには価値や信頼も上げることは難しくなります。