
「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク」(京都市、33団体加盟)は3月28日、企業のCSRなどの実態を評価する「企業のエシカル通信簿」を初めて発表した。対象企業は、国内の食品業界とアパレル業界のそれぞれ売り上げ上位5社で、同通信簿によると、各業界のトップは味の素とファーストリテイリング。SDGsに象徴されるように世界が共通の社会的課題を解決しようとする機運が高まる中、市民ネットワークでは消費者からの観点も反映させて企業に変革の波を起こしたい考え。(オルタナ編集部=小松 遥香)
エシカル消費への関心は高まっているものの、欧米などに比べ、日本は消費者の権利や責任に対する意識醸成が遅れている。「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク」は2016年1月、33のNGOや民間団体によって設立された。同組織は、消費者側からこれまでにない大きな流れを生み出し、「持続可能な消費」によって「持続可能な社会」を実現していこうと活動している。
「商品を選び、企業を選ぶことが、気候変動や格差など社会課題を解決することにつながる。消費と生産を持続可能にするには、正確な情報が必要になる。消費者が選択できる情報を提供するために『企業のエシカル通信簿』を発表することにした。」
同ネットワークの杦本育生・共同代表は、企業のエシカル通信簿を発表した理由について力強く話した。
「ランキングではなくレイティングにすることで、良い所と悪い所の両方を見てもらえる。商品や店、株、就職を選ぶ際の基準になるだろう。今後は、通信簿をつける対象業界を広げていく。」(杦本共同代表)
対策が遅れるアパレル業界
生活に身近で影響力のある企業として、食品業界からは、明治ホールディングス、日本ハム、味の素、山崎製パン、マルハニチロ。アパレル業界からは、ファーストリテイリング、しまむら、ワールド、オンワードホールディングス、青山商事が選ばれた。
通信簿は、7つの重大項目「持続可能な開発・社会」、「環境」、「消費者」、「人権」、「社会・社会貢献」、「平和・非暴力」、「アニマルウェルフェア」に基づいて採点。