W杯決勝トーナメントが始まった。今回はひとつ明るい話題提供として、世界トップレベルのサッカー選手がチームとなって社会貢献をする取り組みを紹介したい。(Cheer Blossom代表取締役・梶川 三枝)
「Common Goal(コモン・ゴール)」という、選手の年俸の1%をNPOに寄付するというシンプルな仕組みで、トップレベルの選手と社会変革の現場が、ファンとともに「本当の意味でのサッカー界」が一体となって世界を変えていこう(SDGsに貢献しよう)、というもの。W杯期間中もファンからの寄付を受け付けている。

W杯開始時点で40人強の選手が登録しており、日本から香川真司選手が参画している。彼のブログによると、マンチェスター・ユナイテッドのファン・マタ選手に誘われたようだが、「サッカーほど人々を鼓舞するエキサイティングなスポーツは他にない。『コモン・ゴール』の素晴らしい点は、サッカーへの情熱を、世界で困っている人々への支援につなげてくれるところ」と述べている(Common Goal 公式サイトより)。
この企画をしたのは、サッカーを活用した社会変革を推進する世界最大のプラットフォームstreetfootballworld。創立者ユルゲン・グリーズベック氏はSport For Smile(SFS)の上級顧問も務めていただいており、世界経済フォーラムでも表彰されたことがあるアショカ・フェローだ。W杯終了後にSFSが主催するフォーラムでは、彼にもオンライン登壇頂き、「Common Goal」についても話していただくので、ぜひご参加いただければと思う(詳細は後日発表)。
そのフォーラムは、W杯と連動して世界中で実施される企画のひとつとして、「サッカーで世界を変える」若者のアイデアを表彰する「Win Off-the-Pitch」の表彰式として、JFA(公益財団法人日本サッカー協会)にも後援いただき実施する。助成元は、英国のNGO Fare network で、人種差別撤廃への取り組みにおけるFIFAのパートナーだ。アドボカシー活動にも積極的で、今回のW杯でも、FIFAの協力によりダイバーシティ・ハウスを運営している。
SFSが実施する若者のアイデア表彰企画の意図は、英語では応募できない若者に世界のムーブメントに参画できる機会を提供することで、300を超える応募のなかから選択された。理念は「Common Goal」と同じだが、「共感されにくいが重要な社会問題」に敢えて挑むアイデアを募集する。
応募資格は若者限定としているが、今年のW杯は、オフピッチで新しい挑戦をしてみてはどうか。スポーツの「社会的価値」はスタジアムの外で問われ、スポーツの力は、スポーツから最も遠い人々にそれが届いた時、最大の威力を発揮する。