ブラックロックCEO「TCFDとSASBの採用を」

世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、1月26日、投資先CEOに年次書簡を送った。このいわゆるフィンク・レターで同氏は、企業の情報開示について、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)や米国のSASB(持続可能性会計基準機構)の開示ルールの採用を促した。

ブラックロックのラリー・フィンクCEOが各企業のトップに向けた年頭書簡

「ラリー・フィンクのCEOへの2021年の手紙」の要旨は次の通り。

【前文】

2020年パンデミックは米国と世界中を包み込み、米国は更に政治的混乱が悪化し民主主義の脆弱さと貴重さが露呈した。

12ヶ月の暗闇にもかかわらず、ロックダウン中に食料や商品を流通させるため、企業は急速に革新した。企業は困っている人々にサービスを提供する非営利団体の支援を強化した。

現代科学の大きな勝利で、複数のワクチンが記録的な時間で開発された。2020年の混乱の中で、企業は気候危機に立ち向かうために力強く動いた。

【テクトニックシフト(地殻変動)加速】

2020年1月から11月にかけて投資信託とETF(上場投資信託)の投資家は、持続可能な資産に世界で2,880億ドルを投資した。

これはあらゆる種類の資産価格を再構築する、長期的だが急速に加速するネットゼロ移行の始まりである。

持続可能なインデックス投資の創出により、気候リスクに対処する準備が整った企業に対する資本の大幅な加速が可能となった。

サステナビリティに焦点を当てた企業に投資を傾ける投資家が増えるにつれて、私たちが目にしているテクトニックシフト(地殻変動)はさらに加速する。

【ネットゼロ移行の機会】

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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