ワイン業界でもサステナビリティがトレンドとなっている。この1年で複数の専門雑誌で「サステナブルワイン」が特集されており、実際にオーガニック関連認証を取るワインが世界中で増えている。最近はエシカル消費の文脈でもワインが見直されており、日本の大手メーカーもオーガニックブランドを立ち上げている。(CSRコンサルタント=安藤 光展)
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ワイン業界でもサステナビリティがトレンドとなっている。筆者はワインが好きで、日本のワインの権威である日本ソムリエ協会の有資格者でよく雑誌も読むのだが、この1年で複数の専門雑誌でサステナブルワインが特集されているのに気づいた。従来の自然派(ビオディナミ、オーガニックなど)ワインと呼ばれていたものが、気候変動対応や地域全体で環境認証に取り組むなど、バリューチェーン全体のサステナビリティを考慮したものに進化しているのである。
サステナブルワインが増えてきている理由は、消費者のニーズが高まっているのと、気候変動を意識する生産者が増えていることがある。社会全体のサステナビリティに対する意識向上と、異常気象による生産者自身の農作物被害が出て当事者意識が高まった点が挙げられる。
1990年代後半ごろに、日本へ自然派ワインという概念が持ち込まれ20年が経ち、分野としては随分浸透したように思う。しかし、企業のサステナビリティと同様に、自然派という表現は「サステナビリティ・ウォッシュ」(本質ではない上部だけのサステナビリティの取り組み)になりがちなものである。
そこで最近では認証も充実してきた「オーガニックワイン」という表現がよく使われるようになっている。日本ではキリングループのメルシャンがオーガニックワインに力を入れている。筆者も昨年発売したブランドを飲んでいるが、なかなかの出来栄えである。もちろん、他の国内生産者でもオーガニックワインは増えており、大手だけではなく小規模のワイナリーでも作られている。
ワイン好きとしては、オーガニック製品のエシカル消費の実践という大義名分があるのは悪くない。コロナ禍の中、レストランに気軽に行くことは難しくなってしまったが、ショップやインターネットでも購入はできる。すでにオーガニック食材に慣れ親しんでいる人も多いと思うが、今後のワイン選定には「品種」「生産年」「生産国」の条件以外に「オーガニック」を入れてみてはどうだろうか。