札幌地裁(武部知子裁判長)は3月17日、同性同士の法律婚を認めないのは憲法に反すると判決を下した。同様の訴訟は東京や名古屋、福岡など全国5地裁で争われており、判決が出たのは今回が初だ。支援団体からは「歴史的な判決」と喜びの声があがっている。
オランダで同性婚に関する法案が世界で初めて可決されたのは20年前の2001年にさかのぼる。この法案を通した中心的人物は、元オランダ国会議員のボリス・ディトリッヒ氏。2013年に実施したボリス氏へのインタビュー記事を再掲する。LGBTの当事者たちが暮らしやすい社会にするためには、何が必要なのか聞いた。

―LGBTの人が暮らしやすい社会にするために、若者には何ができるでしょうか。
ボリス:大切なのは、声をあげることです。LGBTだけではなく、ストレートの人も巻き込んで動きを起こすことが大切です。LGBT当事者の両親や友達と一緒に活動してみてもよいと思います。
日本のLGBTカップルは、結婚式を挙げるために一時的に海外に行くことがあると聞いています。オランダやベルギーなど、世界各国が同性婚を認めている中で、技術や文化が発展している日本で認められていないのはおかしいと思います。
―同性婚を認めるとモラルが崩壊するという意見もあります。
ボリス:オランダでは2001年に同性婚が認められました。当時、法案を通していく過程で、「モラルが崩壊する」という意見も聞かれました。 しかし、現在はどうでしょうか。
モラルは崩壊していますか。まったくしていません。むしろ、若者たちは、「同性婚が禁止されていた」時代を経験していないので、今の時代を当たり前に生きています。 同性婚が認められていなかった時代を生きた人に対しては、違和感を与えるかもしれませんが、法案が通過してから生まれてくる子どもたちにとっては、同性婚は当たり前のものとして存在しています。このように説明して、法案を通しました。
エシカルな社会を実現するには、社会の中に、LGBT当事者たちが含まれることが必要です。スポーツ界でも、ビジネス界でも、LGBTには才能を持った人が多くいます。
―大学生を中心に、LGBT啓発活動をする若者たちは増えています。LGBTの啓発活動に参加している若者へメッセージをください。
ボリス: LGBTの若者たちは孤独感を常に持っています。家族にも、カミングアウトしなくてはいけないので、社会の中で、落ち着ける場所を見つけることが困難です。
同性婚が認められ、10年以上が経つオランダでも、LGBTの若者たちの自殺率は高いのです。 日本でも自傷率は高いです。私が伝えたいのは、「あなたは一人ではない」ということです。
将来はあなたの目の前にあるのではなく、あなたの中にあります。 目標や希望があれば、待つのではなくて、あなた自身がアクションを起こさなければいけないのです。勇気を持って踏み出してください。あなたは一人ではありません。