■ローソン 今田 勝之・取締役専務執行役員(CSO補佐)■
日本でも「脱炭素」の流れが加速するなか、ローソンはCO2排出だけでなく、食品ロスも「2050年ゼロ」を掲げた。その過程ではAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)なども駆使する。今田勝之・専務執行役員(CSO補佐)に目標達成への手応えを聞いた。(聞き手・森 摂=オルタナ編集長、池田 真隆=オルタナS編集長、写真=山口 勉)

――店舗でのCO2排出量を2050年にゼロにする目標を掲げましたね。
当社の店舗では2010年から、「ノンフロン冷凍・冷蔵機器」を導入しています。温室効果が代替フロン類と比べて4千分の1とされる「CO2冷媒」を使っているため、温室効果ガスの大幅削減につながります。「CO2冷媒」は省エネ効果も高いのです。
ローソンの約1万4千店舗中、すでに4160店舗(2021年2月末現在)に導入しており、電気の使用量を15%も減らすことができました。
さらに、全店舗の照明をLEDに変え、屋根に太陽光パネルを設置している店舗は約2000店に達します。さらに、親会社の三菱商事は電力のクリーン化を進め、再エネ発電と送配電事業に乗り出しました。当社もグループの一員として、全国にあるローソン店舗に向けて再エネ電力の供給を行っていきます。
IoTやAIを使って、電力を遠隔で制御する店舗も約800店舗あります。今後、他店舗に広げていくかは、省エネ比率をコストと掛け合わせながら見ていきます。
ハードだけでなく、ソフト面(考え方)の社内浸透も大事なので、「省エネ10カ条」を定めました。この10カ条を店舗内に貼ることで、定期的なエアコンのフィルター清掃や空調温度の調整などへの意識を上げました。
■「食品ロス」をAIでゼロに
――2050年には食品ロスの100%削減も目指していますね。
いま1店舗当たりの売れ残り食品が1日5.9キロ、食用油が2.5キロ出ています。売れ残り商品は、一部の店舗でリサイクル施設に運搬し、肥料や飼料に変えています。
食品ロスを減らすには、廃棄を出さない発注がカギです。そこで5年ほど前から力を入れているのが、AIの学習機能を活用した発注システムです。
過去の販売実績やその日の天候や気温などのデータを入れることで、適正な発注量を推奨する仕組みです。急な天候の変化などはまだ十分に予測対応できていませんが、データも蓄積してきたので、性能が徐々に上がっています。
2019年には食品ロス削減と子ども支援を同時に行う「アナザーチョイス」という実証実験を愛媛県と沖縄県の店舗で実施しました。消費期限が近付いている商品を購入するとお客様にポイントを還元するとともに、売上高に応じて子ども支援団体に寄付する取り組みです。
「アナザーチョイス」は商品を売り切ることが狙いだったのですが、おにぎりは一定の効果があった一方で、お弁当にはあまり効果がないことが分かりました。そこで、次の取り組みを検討しているところです。
昨年は、KDDIと組んで、埼玉県内の10店舗でその店に来店されそうなお客様に消費期限が近い商品の値引き情報を携帯電話に通知するという実験も行いました。このように様々な取り組みを通して、売れ残り商品の発生を防いでいきたいと考えています。

■弁当箱を紙製へプラを7割減に