
東京の青山・表参道界隈で「オーガニック化」が進みつつある。もともと表参道界隈には、オーガニック(有機)の野菜、食材、素材などを扱う店舗が集中していたが、新たに国内外からオーガニック店舗やイベント参入しているためだ。
日本のオーガニック店舗の先駆けである「クレヨンハウス」や「ナチュラルハウス」が表参道に誕生したのは1980年前後。その後も2003年に自然素材にこだわる「ブラウンライス・カフェ」がオープンし、2009年からは定期的に都市型産直市場が開かれるようになった。そしてそれを呼び水に、今年11月には「デイルズフォード・オーガニック青山店」がオープンした。
英国コッツウォルズの農場で創業したデイルズフォード・オーガニックは、本店のほかロンドンに3店舗を展開。ドイツと韓国に次いで、このたび日本に初出店した。店内は自然の色彩だけで飾られ、オーガニックな惣菜やパン、野菜、ジャム、雑貨などが並ぶ。上階のレストランでは、オーガニック・ビーフとオーガニック・チキンを、日本にまだ1つずつしかない産地から取り寄せている。
同店前の国連大学前広場では毎週末、産直市場(ファーマーズマーケット)が開催される。都心にいながら生産者と話をして新鮮な果実や有機野菜が買えるのが特徴だ。ここに集まるオーガニック志向の人々を見て、同店はこの場所への出店を決めたという。
産直市場のもう1つの会場、表参道のGYRE(ジャイル)ビルでは、今年11月から常設店が置かれ、市場が無い日も泥付き野菜などを買えるようになった。さらに12月からは、市場の開催日に生産者と消費者の交流を深めるワークショップを開くなど、市場の定期開催をきっかけに新しい試みが次々と生まれている。
主催者であるファーマーズマーケット・アソシエイションの佐藤卓也氏は表参道について「生産者は、自分の農法のこだわりや他との違いを生の声で伝えに来る。ここには、その思いをしっかり受け止められる消費者がいる」と話す。
産直市場に出店する生産者には、新規就農者や農家の後継ぎ、研修生など若者の姿が目立つ。主催者側にも若いスタッフが多い。表参道のオーガニック文化を、農の未来を見据えた次の世代が盛り上げている。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)2010年12月24日