東京・世田谷区は9月7日、オンライン会議「自然エネルギー活用による自治体間ネットワーク会議〜都市と地方をつなぐ電力のススメ〜」を開催した。昨年(43自治体)を大きく上回る105自治体が参加し、自治体間連携によって再エネを拡大する「世田谷モデル」に注目が集まった。会議では世田谷区と新たに連携・協力協定を締結した新潟県十日町市と津南町が発表を行なったほか、環境省も「他の自治体にも広がってほしい」と後押しした。(オルタナ編集部=長濱 慎)

■大型自治体の横浜市や大阪市も再エネ連携をスタート
十日町市は温泉を活用した地熱発電、津南町は小水力発電による電力を、世田谷区に供給する準備を進めている。両自治体とも再エネ連携を入り口に、人(ツーリズム)やモノ(特産物の販売)の交流につなげていきたいと、コロナ禍収束後の展開に意欲を示した。
電力小売り事業者として地方自治体と世田谷区を結ぶ「みんな電力(10月に「UPDATER(アップデーター)」に社名変更予定)」は、「世田谷モデル」と呼ぶべき自治体間連携が全国に波及していると報告した。実際に神奈川・横浜市は東北の12市町村と再エネに関する連携協定を締結し、大阪府および大阪市も福島県浪江町と協定を締結している。
こうした動きを後押しすべく、環境省は自治体を対象に事業費の最大75%を補助する「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」を新設する方針だ。会議に参加した飯野祐平
・関東地方環境事務所脱炭素チーム・地域循環共生圏構想推進官は「世田谷区のような取り組みが他の自治体にも広がるよう、予算面・体制面の両面から支援してきたい」とエールを送った。
最後に、保坂展人・世田谷区長は105もの自治体が参加したことを受け「会議の密度を濃くして、自治体間の情報共有や意見交換を活発化する場にしていきたい」と、締めくくった。
再エネ連携が持続可能な地域づくりの一つの切り札になるという認識が、急速に広まっていることを示した会議だった。