国際環境NGOグリーンピースは、プラスチックごみを多く排出するグローバル企業4社(コカ・コーラ、ペプシコ、ユニリーバ、ネスレ)に、使い捨てプラの大量生産をやめるよう求めるキャンペーンを展開中だ。すでに世界では700万人以上が賛同し、日本でも署名を呼びかけている。(オルタナ編集部・長濱慎)

■リサイクルよりも「リユース」「パッケージフリー」への移行を
キャンペーンのタイトルは「使い捨てプラスチック問題解決へ力を発揮してほしい4社へお願いです」。
グリーンピースも参加する国際的な脱プラスチックネットワーク「Break Free from Plastic(ブレイク・フリー・フロム・プラスチック)」は毎年、世界各地の海岸や川でごみを拾い、ブランドごとに分別カウントしている。
2021年は6大陸45ヵ国で10000人以上のボランティアが参加し、調査を行なった。その結果、4年連続1位となったコカ・コーラをはじめ、以下の企業のプラごみが多いことがわかった。
1.コカ・コーラ:39ヵ国、19,826個
2.ペプシコ:35ヵ国、8,231個
3.ユニリーバ:30ヵ国、6,079個
4.ネスレ:30ヵ国、4,149個
5.P&G:30ヵ国、1,939個
6.モンデリーズ:28ヵ国、2,065個
7.フィリップモリス:26ヵ国、1,505個
8.ダノン:25ヵ国、3,223個
9.マーズ:24ヵ国、961個
10.コルゲート・パーモリーブ:22ヵ国、941個
※ランキング順位はごみが見つかった国数、引き起こしている汚染の影響度に基づく。
Break Free from Plastic 「The Brand Audit 2021 Report」より
これらの企業はサステナビリティ経営の一環としてプラごみ削減への取り組みを掲げているが、多くはリサイクルを主体としたものだ。例えば、コカ・コーラは「2025年までに容器を100%リサイクル可能な素材にする」を世界全体の目標としている。
ユニリーバは「25年までにプラ包装の総量を10万トン以上削減し、バージンプラ(新品プラ)の使用を半減させる」としているが、同時にリサイクルプラの活用も打ち出している。
グリーンピースはリサイクルに依存するのではなく、プラスチックの大量生産そのものをやめて総量を大幅に減らし、「脱使い捨て」に向けたシステムチェンジをしなければ根本的な解決にならないと警鐘をうながす。具体的には、企業に以下の5つを求めている。
●リユースのシステムやパッケージフリーの製品に移行。その比率を少なくとも25年までに25%、30年までに50%にする。
●リユース可能な容器包装の規格化に向けて他社と協力し、共通のシステムとインフラを構築する。
●「バージンプラ」だけでなく、あらゆる使い捨てプラの容器包装・製品を段階的に廃止する。
●使い捨て容器包装の使用量を毎年公表。同時にプラの生産から使用、廃棄までのライフサイクル全体を通した気候フットプリント(温室効果ガス排出量)を報告する。
●使い捨てプラの廃止およびリユースやパッケージフリーに向けた国や地域の政策、国際協定を支持する。
グリーンピース・ジャパンでプラスチック問題を担当する大舘弘昌さんは、このようにコメントした。
「企業がプラスチック汚染に与えてきた影響は大きく、解決策を主導する責任がある。しかし、現状では使い捨て容器包装の生産そのものを大幅に減らす動きには至っていない。日本でも同様に、多くの企業がプラ問題への取り組みを始めているものの、本質的な解決策を推進しているところは残念ながら少ない」
アメリカのグリーンピースは21年11月、報告書「気候非常事態をひもとく〜消費財メーカーはいかにして石油大手によるプラスチックの生産拡大を促進しているか〜」を発表。世界の化石燃料大手がプラスチックの大量生産に巨額の投資を行い、生産拡大をコカ・コーラ、ネスレ、ペプシコなどのメーカーが助長していると指摘した。
同報告書では、これらの業界がリサイクルの推進を口実に、使い捨て容器包装を制限する法律などに反対してきたことも明らかにしている。