一般社団法人ヤングケアラー協会はこのほど、ヤングケアラーのためのLINE相談窓口を開設するためクラウドファンディングで資金を集めている。親や親戚の介護に追われるヤングケアラーは周囲に相談できる相手がいないことが多い。悩みを一人で抱え込まないように、LINEで気軽に支援者に相談できる体制をつくる。(オルタナS編集長=池田 真隆)

ヤングケアラーとは、18歳未満で学校や会社に行きながら親やきょうだいなどを介護する人を指す。2021年に厚労省と文科省が行ったヤングケアラーに関する実態調査では、中学生は17人に1人、高校生は24人に1人がヤングケアラーだと分かった。
ケアに費やす時間は平均で中学生は1日4時間、高校生は3.8時間だった。特に課題視されたのが彼らの「孤独感」だ。「誰にも相談したことがない」と回答した割合は中高生全体で6割を超えた。
周囲に相談相手がいないことも要因の一つだが、ヤングケアラーが成長過程の「子ども」であることも相談しない理由だという。
ヤングケアラー協会を立ち上げた宮崎成悟さんは、「ヤングケアラーは子どもなので、成長スピードが早く、生活環境も短い期間で変わります。その変化にともなって、抱える悩みや課題も変わります」と話す。
中学生の時点では、今の状況に悩んでいなくても、高校生になってから、「辛い」と感じ始めるかもしれない。
そのため、宮崎さんは必要な支援として、「この先いつ何が起きたとしても、すぐに相談できるという安心感を与えることが重要」と強調する。
国として実態調査に乗り出したばかりで、有効な支援策は模索中だ。そうした中でも、いざというときに頼れる相手をつくっておくことで、ヤングケアラーの心理的な負担を軽減できると言う。
同協会ではクラウドファンディングで800万円の資金調達に挑んでいる。LINEの相談窓口の立ち上げ費用と啓蒙コンテンツの製作費用に当てる。

ヤングケアラー協会は元ヤングケアラーが集まり、昨年立ち上げた。代表を務める宮崎さんも元ヤングケアラーだ。15歳から難病の母親のケアを担ってきた。
宮崎さんは、「子どもたちが気兼ねなく悩みを相談出来る窓口とその『子どもの言葉』を守る社会を作るための基盤を作ります」と意気込む。
宮崎さんが挑戦しているクラウドファンディングはこちら