オオクワガタもNG、ヤフオク禁止の「レッドリスト」

■記事のポイント
①ヤフオクが動植物の取引に関するガイドラインを改訂、9月29日から実施
②環境省がまとめた「レッドリスト」など4000種類以上が出品禁止に
③人気のあるオオクワガタやニホンザリガニも禁止の対象に

インターネットオークションの「ヤフオク」は8月29日、動植物の取引に関する新たなガイドラインを発表し、9月29日から実施する。環境省がレッドリストに登録した絶滅危惧種など4000種以上が出品禁止となり、これまで見かける機会の多かったオオクワガタ、ニホンザリガニ、アカハライモリも取引できなくなる。(オルタナ副編集長・長濱慎)

8月31日現在、1200件以上の出品があるオオクワガタ

ガイドラインは、以下に該当するケースを「出品禁止」とした。個人出品者は人工的に繁殖したものでも、出品できない。

・動物(哺乳類、鳥類、爬虫類)の生体および有精卵(食用の有精卵を除く)
・国の「種の保存法」に指定または追加予定の国内希少野生動物種
・環境省の「レッドリスト」(海洋生物レッドリストを含む)掲載の絶滅危惧種
・「外来生物法」で指定された特定外来生物(卵、種子、器官なども含む)
・象牙および象牙製品全般
(ヤフオク上で出品されているのは「象牙風」や「象牙調」。 本物の象牙は削除対象)

これらを合わせると4000種以上が出品禁止の対象になるが、その多くを占めるのが「レッドリスト」だ。同リストは環境省や地方公共団体、NGOが日本国内で絶滅が危惧される動植物をまとめたもの。最新版の「レッドリスト2020」では3772種にのぼる。その中から、ヤフオクで見かける機会の多いカテゴリーを抜粋して紹介する。

■カブトムシ
ヒサマツサイカブト、オキナワカブトムシ

■クワガタ
オオクワガタ、ヨナグニマルバネクワガタ、ウケジママルバネクワガタ、ダイトウヒラタクワガタ、ハチジョウヒラタクワガタ、オキナワマルバネクワガタ、アマミマルバネクワガタ、キュウシュウコルリクワガタ、ミクラミヤマクワガタ 、ヤエヤママルバネクワガタ 、キンオニクワガタ、エゾミヤマクワガタ

クワガタは9月1日現在、6600件以上が出品され、うち1300件をレッドリストに含まれるオオクワガタが占めている。

■バッタ・コオロギ
アカハネバッタ、マボロシオオバッタ、オガサワライナゴ、ムニンツヅレサセコオロギ、オキナワキリギリス、オチバコオロギ、リュウキュウハマコオロギ、イズササキリ、アニジマイナゴ、アマミヒラタヒシバッタ

■カマキリ
マダラアシミズカマキリ、ウスバカマキリ

■ザリガニなど甲殻類
ニホンザリガニ、クメジマミナミサワガニ、トカシキミナミサワガニ、オガサワラクロベンケイガニ、リュウキュウアカテガニ、サキシマオカヤドカリ、オガサワラモクズガニ、ケラマサワガニ、 アラモトサワガニ、オキナワオオサワガニ、イヘヤオオサワガニ、クメジマオオサワガニ、ウリガーテナガエビ、ネッタイテナガエビ、イシガキヌマエビ、オガサワラコテナガエビ、シオマネキ

■イモリ
アカハライモリ、シリケンイモリ、イボイモリ

9月1日現在、アカハライモリは177件の出品がある。

■魚類(メダカ、タナゴなど)
ミナミメダカキタノメダカ、イチモンジタナゴ、ゼニタナゴ、スイゲンゼニタナゴ、ニッポンバラタナゴ、ミヤコタナゴ、カゼトゲタナゴ、ヤリタナゴ、タイワンキンギョ、アカメ

■ウナギ
ニホンウナギ、ニューギニアウナギ

ゲンゴロウは「絶滅危惧IA類:ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い」と「絶滅危惧IB類:IA類ほどではないが、近い将来絶滅の危険性が高い」を合わせると以下の16種だが、リスト全体では60種近い。

■ゲンゴロウ(絶滅危惧IA類)
コセスジゲンゴロウ、マルコガタノゲンゴロウ、フチトリゲンゴロウ 、シャープゲンゴロウモドキ、マダラシマゲンゴロウ、ニセコケシゲンゴロウ、マダラゲンゴロウ

ゲンゴロウ(絶滅危惧IB類)
キボシチビコツブゲンゴロウ、ギフムカシゲンゴロウ、カガミムカシゲンゴロウ、トサムカシゲンゴロウ、ヤシャゲンゴロウ、オオイチモンジシマゲンゴロウ、キタノツブゲンゴロウ、オオメクラゲンゴロウ、トサメクラゲンゴロウ

ドジョウは絶滅危惧IA類とIB類を合わせると、以下の17種がレッドリストに登録されている。

■ドジョウ(絶滅危惧IA類)
サンヨウコガタスジシマドジョウ、ヨドコガタスジシマドジョウ、ハカタスジシマドジョウ、 タンゴスジシマドジョウ

■ドジョウ(絶滅危惧IB類)
アリアケスジシマドジョウ、オオガタスジシマドジョウ、ビワコガタスジシマドジョウ、 サンインコガタスジシマドジョウ、トウカイコガタスジシマドジョウ、オオヨドシマドジョウ、ヒナイシドジョウ、オンガスジシマドジョウ、イシドジョウ、エゾホトケドジョウ、 ホトケドジョウ、 トウカイナガレホトケドジョウ 、ナガレホトケドジョウ

ヤフオクは例外として「レッドリストに掲載されている絶滅危惧種、および準絶滅危惧種であっても、ストア出店者であれば人工的に繁殖された個体に限り出品が可能」としている。その場合は、繁殖個体であることをヤフーが確認できること(繁殖環境の画像を掲載すること)を条件としている。

S.Nagahama

長濱 慎(オルタナ副編集長)

都市ガス業界のPR誌で約10年、メイン記者として活動。2022年オルタナ編集部に。環境、エネルギー、人権、SDGsなど、取材ジャンルを広げてサステナブルな社会の実現に向けた情報発信を行う。プライベートでは日本の刑事司法に関心を持ち、冤罪事件の支援活動に取り組む。

執筆記事一覧
キーワード: #SDGs#生物多様性

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。