記事のポイント
- SBTイニシアティブは昨年10月、新しい基準「SBTネットゼロ」を公表
- 日本企業でこの認定を取得したのは三菱地所、キリン、ソニーの3社
- 企業担当者に認定を取得した「3つのポイント」を聞いた
SBTイニシアティブが昨年10月に策定した新しい基準「SBTネットゼロ」の認定を取得する日本企業がじわりと増えてきた。7月に三菱地所が日本企業として初めて取得し、キリンホールディングス、ソニーと続く。認定を取得したポイントを聞いた。(オルタナS編集長=池田 真隆)

SBTイニシアティブは昨年10月、新たな基準として「SBTネットゼロ基準」を設けた。この基準では、企業の脱炭素目標が世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるというパリ協定で定めた長期目標と整合しているかを認定する。
具体的には、企業にはバリューチェーン全体で2050年までに90%以上のGHG(温室効果ガス)削減を、残りの10%は大気中からの炭素除去を求めた。基準年は2015年以降で任意とした。
SBTイニシアティブがこの基準を設けた背景には、「ネットゼロ目標」の乱立がある。多くの企業が「2050年ネットゼロ」を掲げるが、GHG排出の対象範囲や削減水準などが異なっていた。そこで、SBTイニシアチブはネットゼロ目標の共通の国際基準をつくったのだ。
この認定を取得した企業は自社の脱炭素目標がパリ協定で掲げる目標と科学的に整合していることを証明できる。ESGの視点で投資先を選ぶ機関投資家へのアピールとなる。
SBTイニシアティブは2021年10月28日にこの基準を発表し、同日に世界で初めてこの認定を取得した7社を発表した。アストラゼネカ(英国)、CVSヘルス(米国)、電通インターナショナル(英国)、ホルシム(スイス)、JLL(米国)、オーステッド(デンマーク)、ウィプロ(インド)――の7社だ。
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