オムロン、1500自治体でDX駆使した「共助」ビジネス進出

記事のポイント


  1. オムロンは約1500自治体で、DXを駆使した「共助」ビジネスに取り組む
  2. まず静岡県熱海市で、現地住民の協力を得た「MasS」事業を立ち上げた
  3. 課題先進地域でいち早く課題解決に取り組むことで150億円の市場開拓を狙う

オムロンはDXを駆使した「共助」ビジネスに進出した。人口減に悩む15万人以下の約1500自治体を対象にする。第一号として、静岡県熱海市で、MaaSサービスを始めた。自社のDX技術を課題解決に活かすことで150億円の市場開拓を狙う。(オルタナS編集長=池田 真隆)

右からアドレス・佐別当隆志社長、OSS・細井俊夫社長、machimori・市来広一郎代表

今回のプロジェクトは、オムロン子会社のオムロン ソーシアルソリューションズ(東京・港、OSS)が手掛ける。OSSの細井俊夫社長(オムロン執行役員常務)は、11月28日に開いた記者会見で、「全国1500の自治体にヨコ展開できる。年間150億円の市場を開拓したい」と強調した。

人口が減少していく中で、地方自治体が抱える共通の課題は「共助体制の強化」だ。人口減で税収が減ると公助が脆弱化する。高齢化すると必然的に自助も弱まる。そこで自治体が期待するのが共助体制の強化という訳だ。

企業理念は「ソーシャルニーズの創造」

OSSは共助体制を強くしていくことを「ソーシャルニーズ」と捉え、市場開拓を狙う。ソーシャルニーズは、オムロンが企業理念の一項目に位置付ける概念だ。顕在化していない社会課題を起点に新規ビジネスを創出する考えだ。

オムロンは1933年の創業期から、社会課題の解決を掲げて発展してきた。1950年代には自動車の急激な増加に伴い、交通事故が増えてきた。オムロンはそうした課題に目を付け、自動車の交通量に合わせて信号の色が変わる世界初の「電子式自動感応信号機」を開発した。

通勤ラッシュ時の混雑にもいち早く対応した。改札口の混雑緩和を目的に「自動改札機」を世界で初めて開発した。このように社会経済の変化に合わせて、まだ顕在化していない社会課題を「ソーシャルニーズ」と捉え、ビジネスで解決してきた。

今回、OSSが取り組むのが、DXによる地方自治体の共助体制の強化だ。第一弾の実証実験の舞台は、静岡県熱海市。同市の人口は1965年の約5万4500人をピークに減少し、2019年1月時点で約3万7000人にまで下がった。空き家率は52.7%(2018年、総務省調べ)で、主幹産業の観光業も衰退傾向にある。

関係人口を「共助の担い手」に

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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