記事のポイント
- LGBTQ施策で、企業間の格差が鮮明になった
- 同性パートナーシップを導入する企業が近年増えている
- 「多様な人材や視点が、企業の成長を支える」ダイバーシティ経営が企業の機会となった
LGBTQ当事者に対する取り組みで、企業間の格差が鮮明になってきた。同性パートナーも「結婚」と認めて、祝い金や家族手当を出す企業がある。一方で、ジェンダー意識が薄い企業も多い。企業の人材獲得や社会からの評価において、LGBTQ課題がリスクにも機会にもなり得る時代になった。(オルタナ編集部・下村つぐみ)
メディアプラットフォームを運営するnote(東京・港)は、2022年9月から福利厚生の適用範囲を同性パートナーや事実婚にも拡大した。同月には不調を感じたときに取得できる休暇「シックリーブ」、社員の家族やペットなどの不調を対象にした「大切な人のケア休暇」の2つも新たに導入した。社員を支える家族やパートナー、ペットを尊重した環境整備を整える。
KDDIは2020年6月から同性パートナーとの子どもを「家族」として扱う制度「ファミリーシップ申請」を導入している。同社の社員に親権がなくても、会社が指定する手続きを踏まえた同性パートナーとの子どもであれば、祝い金などを支給する。
同社は2017年4月という比較的早い時期に、同性パートナーも配偶者に含め、すべての社内制度を適用した。
ライフネット生命は2015年11月、業界として初めて、同居期間などの一定の条件をクリアすると、同性パートナーも生命保険の保険金受取人に指定できるようにした。自治体が発行する証明書などは不要で、同社指定の確認書にパートナー双方が署名・捺印すれば申し込める。

■企業318社がゴールド認定
企業のLGBTQ対応を評価する制度も充実してきた。日本IBMと人権NPOが立ち上げた任意団体「work with Pride」は2016年度から、 LGBTQ制度に取り組む企業を表彰する「PRIDE指標」を始めた。
2022年は318社が最高位となるゴールドに輝いた。2016年の53社から、6年で6倍に増えたことから、企業の意識は高まっているようだ。中小企業からの応募も顕著に増えたという。
なかでも日本IBMと野村HDなど28社は7年連続の受賞となった。