経産省が「カーボンフットプリント」の素案を示す

記事のポイント


  1. 経済産業省は1月31日に「カーボンフットプリント」の素案を示した
  2. 算定の基礎要件や算定ルールの策定プロセスなどを盛り込む
  3. パブリックコメントの募集を行い3月末までに公表する

経済産業省はこのほど、カーボンフットプリントのレポート案とガイドライン案を示した。企業はサプライチェーン上の排出量である「スコープ3」開示のニーズが高まる中で、カーボンフットプリントを算定する動きが広がる。今回の素案では企業がカーボンフットプリントを算定するための環境を整備する。国際基準との整合性も確保する。今後、パブリックコメントの募集を行い、3月末までに公表する。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

カーボンフットプリントの普及を通して、脱炭素・低炭素製品が選ばれるグリーン市場の形成を目指す(画像は経済産業省資料から)

カーボンフットプリント(CFP)は製品のライフサイクルでのCO2排出量の総量のことだ。原材料の調達、生産、流通・販売、使用・維持管理、廃棄・リサイクルの各工程で排出されるCO2を合計して算出する。

経産省は昨年9月に検討会を設置し、レポート・ガイドラインの検討を進めてきた。

レポートでは国内外のCFPをめぐる状況の整理と、それを踏まえたCFPに関連する国内政策の方向性を示した。

日本の産業部門のCO2排出量のうち、鉄鋼業と化学工業で5割超を占める。こういった業界に対して排出量の可視化や削減を求める声があがる。公共調達で排出量の少ない製品を採用しようという動きもある。公平に比較するために製品別の算定ルールの確立や、削減努力を反映するため1次データでの算定が重要になる。

経産省も今後の政策の論点のひとつに「1次データの活用の推進」を掲げて、後押しする。

ガイドラインでは、CFPを活用する意義などを解説するとともに、算定の基礎要件や検証の取り組み指針を示した。公共調達などにおいてCFPを活用して製品比較を行う際に必要となる「製品別算定ルール」を策定するまでのプロセスなどを示す。

全てのCFP算定で満たすべき要件を「基礎要件」、他社製品と比較されることが想定される場合を想定して、基礎要件に加えて満たすべき最低要件も示した。

基礎要件のなかには「CFPの算定において、カーボンオフセットを適用してはならない」や「内部検証/第三者検証のいずれかを実施することが望ましい」なども明記した。

・CFPレポート案・ガイドライン案の内容はこちら

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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キーワード: #脱炭素

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