記事のポイント
- 経産省と東証がSX銘柄を創設、投資家の呼び込みも目指す
- SX銘柄では社会課題などで事業成長に取り込む企業を選定する
- SX銘柄評価委員会を発足させて、審査基準を策定へ
経済産業省と東京証券取引所はこのほど、「SX銘柄」を創設した。銘柄には、投資家との対話を通じて、社会課題やニーズを自社の成長へ取り込み、持続的な企業価値向上に取り組む企業を選定する。今後、SX銘柄評価委員会を発足させて、審査基準を策定する。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

経済産業省では2021年5月の「SX研究会」を立ち上げて、長期的・持続的な企業価値向上へ議論を行った。その成果は、「伊藤レポート3.0」、「価値協創ガイダンス2.0」として、昨年8月に示された。
SXの概念は、「社会のサステナビリティ」と「企業のサステナビリティ」を同期させて、経営変革や事業変革を進めていくことだ。
社会のサステナビリティは、気候変動や人権への対応など、社会の持続可能性の向上だ。対して、企業のサステナビリティは、社会の持続可能性に資する長期的な価値提供や、長期的・持続的に成長原資を生み出す力(稼ぐ力)の向上が挙がる。
伊藤レポートやガイダンスで示された「SX実現のためのフレームワーク」では、価値観や長期戦略、実行戦略、KPI、ガバナンスの5つの大枠を設定する。投資家との対話を通じてブラッシュアップしていくことで、中長期的な価値向上につなげることを想定する。
SXのなかにはGXも内包する。伊藤レポートではGXを「気候変動をはじめとする幅広いサステナビリティ課題を対象とするSXの中に位置づけて取り組む」ことを求めている。
経済産業省では「SX銘柄」を通じて、投資家との対話を通じて自社の成長にサステナビリティ課題を取り込むなどして、長期的かつ持続的な企業価値の向上を促していきたい考えだ。
今後、「SX銘柄評価委員会」を発足させる。SX銘柄の審査基準などを策定し、7月頃に「SX銘柄2024」の公募を行う。選定結果は24年春頃に公表する予定だ。
「SX銘柄」の創設には「日本株離れ」を防ぎたいという考えもある。「SX銘柄2024」発表後に国内外の投資家に向けてアピールする。具体的な施策は今後検討するが、経産省後援のイベントなどで紹介することを念頭に置く。