記事のポイント
- 欧州主要リーグのサッカークラブには「ESG担当者」がいる
- リーグが各クラブの担当者を集めてサステナビリティ研修も行う
- 各クラブがESGを強化する背景にはファン、株主、政府などからの圧力が
欧州主要リーグのサッカークラブには「ESG(環境・社会・ガバナンス)担当者」がいる。リーグが各クラブのサステナブル経営を後押ししており、スペインのプロサッカーリーグ「ラ・リーガ」では担当者を集めて週に8時間の研修を開くほど力を入れる。各クラブがESGを強化する背景にはファン、株主、政府などからの圧力がある。(オルタナS編集長=池田 真隆)
スポーツ業界にも、グリーンウォッシュ(環境によいことをやったふり)を排除する動きが起きている。サステナビリティへの意識が高い英国では、ファンや株主、政府が各クラブに対して、環境性や社会性を強く求める。
これらの圧力を象徴した有志キャンペーンが気候変動対策を訴える「Green Football Weekend」や「Sports Sustainability table」などだ。
こうしたことを背景に、英国プレミアリーグに所属するリバプールFCは2月1日、「ISO 20121」の認証を取得した。これは、持続可能なイベント運営のためのマネジメント規格だ。プレミアリーグのサッカークラブとして初めての取得となる。

ISO20121は、2012年のロンドン・オリンピックに向けて策定されたマネジメント規格だ。FIFAやFAカップの決勝戦が行われるウェンブリー・スタジアム、UEFAユーロ2016(フランス・パリ市)の大会などがISO 20121の認証を取得した。
サッカーだけでなく、ワールドセーリングやフォーミュラEなど、数年前からISO 20121の認証を取得するスポーツイベントは増えている。
今回、リバプールはISO20121を取得することで、組織としてサステナビリティに取り組むことの信ぴょう性を高めた。
ISO20121の開発に関わった、BSIのマーティン・タウンゼント・サステナビリティ担当ディレクターは、ISO20121を取得する重要性をこう説明した。
「ISO 20121をスポーツ業界に導入することで、クラブはその規模の大小を問わず、社会的・環境的影響を目に見える形で軽減し、同時に運営効率を向上させることができます。この認証は、すべてのスポーツイベントにベストプラクティスの枠組みを提供し、その独立した厳格な性質は、業界におけるグリーンウォッシュの拡散を最小限に抑えます」