記事のポイント
- 2022年の難民認定者数が過去最多の202人だった
- 一方で、難民不認定とされた人の数は1万人を超えた
- 支援団体は法制度や運用の改善を訴える

出入国在留管理庁は3月24日、2022年の難民認定者数が過去最多の202人だったと発表した。一方で、難民不認定とされた人の数(一次審査・審査請求の合計)は1万人を超えた。日本で暮らす難民支援を行う難民支援協会(東京・千代田)は「難民保護の目的を果たすための、法制度や運用の改善が必要だ」と訴えた。(オルタナ副編集長=吉田広子)
難民認定された202人のうち、アフガニスタン出身者が最も多い147人だった。難民支援協会によると、その多くは、タリバンによるカブール陥落後、日本に退避が認められた元大使館職員やその家族だ。しかし、入国してしばらくの間、難民申請の選択肢が提示されることはなく、日本政府との契約終了前に「最後の手段」として難民申請が行われたという経緯があるという。
次に多いのが、2021年2月にクーデターが起きたミャンマーの出身者だ。26人が認定を受けたものの、不認定は2000人近くに上った(一次審査・審査請求の合計)。人道配慮による在留許可は1682人だった。
一次審査・審査請求の合計で、2022年に難民不認定とされた人の数は、1万人以上に上る。
難民支援協会は「難民として保護されるべき人が保護されていない現状を踏まえ、⽇本に逃れた難⺠を国際基準に則って保護するための、包括的で公平な庇護制度が確⽴される必要がある」と訴えた。
一方、入管庁は同日、「難民該当性判断の手引」を策定し、公表した。難民該当性を判断する際に考慮すべきポイントを整理し、明確化したものだ。しかし、この手引きについては、国際基準ではなく、日本の難民該当性判断にとどめられている点に対して懸念が高まっている。
日本政府は3月7日、出入国管理及び難民認定法(入管法)改正案を閣議決定したが、3回目以降の申請者は強制送還の対象になることから、国内外から批判の声が上がっている。
※ミャンマー出身者の難民申請に関する不認定数と、在留許可数について次の通り修正しました(3月27日)
(修正前)
26人が認定を受けたものの、不認定は2000人近くに上り、うち約260人は人道配慮による在留許可も付与されていない。
(修正後)
26人が認定を受けたものの、不認定は2000人近くに上った(一次審査・審査請求の合計)。人道配慮による在留許可は1682人だった。