記事のポイント
- 生物多様性国家戦略2023-2030が31日に閣議決定した
- 生物多様性のCOP15に対応、15のあるべき姿と25のなすべき行動を示した
- WWFジャパンは「海外に与えている影響に着目した目標が少ない」と指摘
「生物多様性国家戦略2023-2030」が31日に閣議決定した。昨年のCOP15での「昆明・モントリオール生物多様性枠組合意」に準拠して作成した。5つの基本戦略のもと、15の「あるべき姿」と25の「なすべき行動」を示した。NGOからは戦略を評価する一方で、海外に与えている影響が考慮されていない、などの指摘も出た。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

新しい生物多様性国家戦略では「生態系の健全性の回復」「自然を活用した社会課題の解決」「ネイチャポジティブ経済の実現」など5つの基本戦略を掲げた。それぞれの戦略に状態目標(あるべき姿)と行動目標(なすべき行動)を設けた。
状態目標と行動目標のほかに、具体的施策として、指標とそれについての現状値と目標値を掲げた。その一方で、「サプライチェーン対応、指標・見える化、データ整備を実施している企業の数又は割合」など目標値が掲げられていない指標も複数あった。
環境NGOからは戦略に対して、評価する声があがった。WWFジャパンは31日に発表した声明で、ネイチャーポジティブを目標として位置付けた点や、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する目標「30by30」など個別分野での具体的な数値目標を定めた点などを評価した。
その一方で、戦略の目標は国内にフォーカスしたものが大半で、日本企業が海外に与えている影響についての目標が少ないと指摘する。声明では「海外に対して与えている影響・フットプリントに着目した目標が少なく、具体性に乏しい」とした。
森林減少・劣化の原因となる牛や木材、パーム油などの調達や水産物調達、企業のサプライチェーンでのトレーサビリティ確保や調達方針などについても、「具体的な目標に乏しい」と指摘した。
声明では、省庁横断型で「ネイチャーポジティブ」を実現することに期待を示した。