
東京電力は28日、保有するKDDI株約35万7000株を売却すると発表した。売却額は1862億円で、KDDIは自社株買いによってそれを取得する。
福島第1原発事故の賠償資金捻出を目的とした資産売却の一環。東電には、計376億円の売却損が発生するが、12年3月期の通期業績には織り込み済みという。
また東電は筆頭株主の関東天然瓦斯開発株も産業ガスのエア・ウォーターと都市ガスの京葉ガスに計約57億円で全株売却する。
東電は、原発事故の賠償に関連し、政府支援を受けるために策定した緊急特別事業計画で、3年以内に3301億円相当の有価証券の売却を決定。このうち、今年度中に3004億円相当を処理する予定。KDDI株を含めると3000億円弱を売却したことになり、目標は達成できる見通しだ。
東電は光ファイバー事業を売却した際に代価としてKDDI株を取得していた。売却前は京セラ、トヨタ自動車に次ぐ第3位の株主で、9月末で発行済み株式総数の7・97%を保有していた。
また東電は退職者に支払う企業年金の給付利率を最大4・25%引き下げる方針を固め、対象者に文書で通知した。これも原発事故での賠償対策の一環。(オルタナ編集部=石井孝明)11月30日