記事のポイント
- アースデイに先駆けた調査で、日本は81%が「気候変動の影響を心配」
- 気候変動の対策強化を求める声は世界的にも80%を超えた
- 報道を通して取り組みを後押しする、世界的なメディア連携も立ち上がった
出入国管理及び難民認定法(入管法)改正案がこのほど、国会に提出された。これを受けて、入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合などは4月7日、入管法改正案に反対の意思を示し、廃案にするべく、参議院議員会館前で座り込みデモを行った。難民申請3回以上で強制送還の対象になることや、監理措置制度の設置などを問題視し、国際基準に基づいた難民受け入れを訴えた。(オルタナ編集部)

■ 強制送還や「監理措置制度」の問題
「仮放免者(※)の方は、就労できず移動も制限され、医療保険に加入することもできない。入管の外で生活することを許されても、実際には生きていけない状態。そこに監理人制度を設けて監視を強化することは、当事者を抑圧して、さらに生きにくい状況にすることにほかならない。」
※仮放免とは、出入国在留管理局に収容されている人が出入国在留管理局に保証金を納付するのと引き換えに、一時的に出入国在留管理局の収容施設から身体拘束を解いてもらう手続きのこと。仮放免の申請は、収容されている外国人、またはその代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹が行うことができる(出典:目黒国際法律事務所)
こう訴えるのは、BOND(バンド、外国人労働者・難民と共に歩む会)の学生メンバー降旗さんだ。悪天候の中、参議院議員会館前には、入管法改正案反対を訴えようと、学生や市民を中心に30人ほどが集まった。
入管法改正案では、原則として3回以上の難民申請者を強制送還できるようになる。しかし、これは、難民条約のノン・ルフールマン原則(迫害の危険に直面する国への送還を禁じる原則)に反する恐れがある。
改正案には、親族や知人など、本人の監督などを承諾している者を「監理人」として選び、その監理の下で、逃亡等を防止しつつ、収容しないで退去強制手続を進める「監理措置制度」も盛り込まれた。
そこで、入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合(入管闘争市民連合)は、改正法案を廃案にし、在留特別許可基準の大幅緩和や国際基準に基づいた難民受け入れ、強制送還一本やり方針の転換を求めている。
■ 日本の経済成長を支えてきた外国人労働者
日本はこれまで外国人の労働力に支えられてきた面もある。バブル経済期には国内の労働力が不足し、観光で来た外国人やオーバーステイの外国人を黙認して働かせていたことがあった。バブルが弾けて、日本人でも安い労働力を確保できるようになると、必要なくなった外国人労働者を一斉摘発した。
入管に収容している人や仮放免者の中には、長年日本で労働してきた高齢者もいるという。生活基盤も日本にあり、今さら自国に帰って生活するのも困難だ。
日本の難民認定率は先進国で最も低い。2022年の難民認定数は過去最多の202人となる一方で、難民不認定とされた人の数は1万人を超える(出典:「令和4年における難民認定者数等について」出入国在留管理庁)。
収容期間に上限がないことや、仮放免の許可が極めて少ないこと、仮放免者が就労できないことなども課題だ。
デモの前日は、2021年に名古屋市の入管施設で死亡したウィシュマ・サンダマリさん(当時33)の遺族側が、記者会見で死亡前の映像を公開した。295時間ある映像から、国側が証拠として提出した5時間のうち、5分間ほどの映像だ。
ウィシュマさんは映像の中で「点滴を打ってほしい」「病院に連れて行ってほしい」と繰り返し求めているが、入管職員が取り合わない様子が映し出されている。
デモ参加者の女性は、「そのような対応をする職員が生まれてしまう入管行政はおかしい」と非難した。
ウィシュマさんの弁護団に入っている弁護士の男性は、年明けから5時間の動画を何度も見たという。「公開されていない酷い映像がまだ沢山ある。人間扱いされず、入管に収容されている人たちのためにどうにかしたい。裁判は運動の一部、総体で入管法改正案を潰さないといけない」と話した。
降旗さんは、「入管法改正案を廃案に持ち込むために、いろんな所で市民が声を上げて活動している。今日のシットイン(座り込みデモ)もその一環だが、反対だという姿勢を示して、負けずに声を上げていきましょう」と話した。
次回は14日18時から参議院議員会館前で座り込みを行う予定だ。
入管闘争市民連合は、問題解決に向けた署名も呼び掛けている。
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