記事のポイント
- インド政府が石炭火力発電所の新規建設を中止する方向で検討している
- 中国、米国に次いでインドは世界第3の温室効果ガス(GHG)排出国である
- インドネシア、オーストラリアなどの鉱業者にも影響を与える可能性がある
インド政府が石炭火力発電所の新規建設を中止する方向で検討していることが分かった。ロイター通信が5月5日に報じた。同国は現在、国家電力政策(NEP)の改定作業を進めている。世界の石炭火力発電所の約8割は中国とインドが占めることから、改定の最終案が承認されれば、脱炭素化に向けて大きく前進する。(北村佳代子)

インドは、中国、米国に次ぐ世界第3の温室効果ガス(GHG)排出国だ。
インドは、2005年に制定した国家電力政策(NEP)を、今回初めて改定する。改定NEPの最終案では、計画中の石炭火力発電所を除いて、新規での石炭火力発電の建設を中止する見通しだ。
ロイター通信は、「熟考の末、現在計画中の発電所を除けば、新たに石炭火力発電所を建設する必要はないとの結論に達した」と、政府関係者の言葉を紹介した。
インドはこれまで、国民一人当たりのGHG排出量は多くないこと、再生可能エネルギーによる発電が急増していること、安価な燃料に対する需要が旺盛であることなどを理由に、石炭火力発電所の廃止については繰り返し拒否してきた。
そのため、今後数十年はインドの発電源は石炭火力が中心となることが予測され、環境活動家らは、発電量全体に占める化石燃料比率を減らすために石炭火力発電所の新設中止を求めてきた。
■石炭火力の発電容量追加から一転