記事のポイント
- 花王とライオンがつめかえパックの水平リサイクル商品を発売する
- リサイクル素材を使用したつめかえパックは世界で初の事例だ
- 花王は50年「ごみネガティブ」に向けたロードマップも示した
花王とライオンが洗剤などのつめかえパックの水平リサイクル商品を発売する。水平リサイクル商品にはリサイクル素材を1割使用する。つめかえパックの水平リサイクルは世界で初の事例となる。花王は同時に50年「ごみネガティブ」に向けたロードマップも示した。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

花王とライオンは水平リサイクルしたつめかえパック商品を5月29日から数量限定で発売する。対象商品は、花王の「アタック ZERO つめかえ用(1620g)」、ライオンの「トップ スーパーNANOX ニオイ専用 つめかえ用超特大」となる。
両社をはじめとした日用品メーカーでは90年代から包装容器プラスチック使用量の削減を進めてきた。日本石鹸洗剤工業会の統計によれば、21年のつめかえ・つけかえ用製品は全製品出荷量の8割に及ぶ。
その一方で、つめかえパックの水平リサイクルには課題があった。つめかえパックは主に使われているフィルム素材が複数の材料からなるためリサイクルしづらいことや、分別回収の仕組みが確立されていないなどの課題があった。
両社は20年9月からつめかえパックのリサイクルで協働してきた。回収の仕組みを構築していくとともに、水平リサイクルに向けた技術開発も進めた。今回発売した商品は数量限定となるが、今後さらなる回収の仕組みの改良や技術の向上などを進め、本格展開を目指す。
■花王は「ごみネガティブ」へのロードマップも
花王は同時に、2050年「ごみネガティブ」に向けたロードマップも示した。
「ごみネガティブ」はプラスチック包装容器使用量より同社がプラスチック再資源化に関与した量が多い状態を指す。これに向けて、30年に「再資源化50%」、40年に「ごみゼロ」を目指す。
目標達成に向けては「リデュースイノベーション」と「リサイクルイノベーション」を推進していくことがポイントとなる。
「リデュースイノベーション」は包装容器の再生プラスチック、植物由来プラスチックの使用を促進していくことだ。これにより、化石由来のプラスチック使用量を30年ピークアウト、50年ゼロを目指す。
「リサイクルイノベーション」はプラスチック廃棄物を再資源化していく取り組みを指す。まずは同社が関与する再資源化率を30年に50%とすることを目指す。
22年実績も公表した。包装容器として使用するプラスチック9万1000tのうち化石由来のプラスチック使用量は8万8000tであったこと、花王や社会が使用する包装容器のプラスチック使用量を14万4000tを削減したことなどを報告した。包装容器のプラ使用量は30年までに20万tの削減を掲げる。