記事のポイント
- 「GX関連法」が今国会で全て成立し、政府はGX化に向けた政策を強める
- その軸は150兆円規模の「GX投資」を集めるために発行する国債だ
- 今後10年で20兆円規模を予定するが、本当に「呼び水」になるのか
5月末にGX脱炭素電源法が国会で成立したことで、先に成立していたGX推進法と合わせて、「GX関連二法」が動き出す。推進法のキモは「GX経済移行債(国債)」で、次世代革新原子炉やCCS/CCUS(二酸化炭素の回収・貯留炭素・利用)などの革新的技術を支援する。だが、「2050年までに実用化できるのか」「国際基準に合っているのか」など疑問視する声も相次ぐ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

政府はあらゆる産業のGX化に必要な投資額を150兆円と見込む。民間の投資を促進する「呼び水」として発行するのが、GX経済移行債だ。10年で20兆円規模を予定する。
GX経済移行債は建設国債や復興債のような「統合債」ではなく、独立した国債として売り出す。資金使途を脱炭素に限定し、カーボンプライシングから資金を償還財源に充て、償還までの期間(2050年まで)も通常の国債と比べて短くした。
発行方式の流れは次の通りだ。GX推進法をもとに、内閣官房GX推進室(経産省、財務省、環境省などの参事官級の集まり)が外部の認証機関と議論して、「移行」の定義や資金使途を決めていく。
GX経済移行債は、国債として調達した資金で民間企業が投資に踏み出しづらい、「革新的技術」に投資していく。
具体的には、「水素・アンモニア混焼の供給網の整備(約7兆円)」「CCSやCCUS(約4兆円)」「次世代革新炉(約1兆円)」などだ。
■日本のGXが国際基準に準拠するかは不透明
■経産省は「多少ずれているかもしれないが・・・」
■リスクは『正しいリスク』でないと意味がない