
ドキュメンタリー映画「タイガからのメッセージ」が、3月13日と28日に東京で公開された。タイガは、ロシア語で「森」を指す。
「タイガの森フォーラム」が企画し、2010年から2年間、三上雄己監督らが極東ロシアのタイガに通って制作した。
テーマは、タイガを守り続けてきた先住民族「ウデヘ」の暮らし。彼らにとって絶滅危惧種のアムールトラは神の使いで、タイガは家であり、無尽蔵の食糧庫だ。川は冷蔵庫にも水筒にもなる。
ルーツが重なる日本人とウデヘは顔が似ているが、映画に挿入される日本の都市生活は、両者の生き方の違いを際立たせる。
タイガから流れる川はオホーツク海に注ぎ、豊かな養分を含む親潮となって日本の漁場をも支えてきた。ところが、かつての日本は海外材を大量に輸入して伐採に加担し、タイガを激減させた。
上映後は観客と制作者が交流して、タイガと日本のつながりを見つめ直した。次回の上映会は、震災1周年を機に「真実」を求めてドキュメンタリー映画の上映を始めた「神楽シネマ」で、4月20日に開催される。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)