記事のポイント
- 外国人観光客の積極的な誘致、「インバウンド」が活況だ
- 円安により、訪日客にとって日本は「天国」のようだ。清潔かつ安全でもある
- インバウンド需要を取り込むのはいいが、「安売り」には走りたくはない
外国人観光客の積極的な誘致、インバウンドが活況となっている。ずっとデフレ気味だった日本は海外諸国からみると、ホテル代も食事代も恐ろしく安く、それでいて清潔かつ安全ときた。まるで天国旅行をしているかのように映る。そこへ円安もあって訪日客は、ごきげんそのものである。海外からの観光客が、お金を落としてくれるのは、日本経済にとってありがたい。地方経済の活性化にも大歓迎である。(さわかみホールディングス社長=澤上 篤人)

ただ、海外からのインバウンド需要を取り込むのはいいが、「安売り」に走りたくはない。外貨を稼ぐにあたって、ひたすら低賃金や円安を売りものにするなんて、あまりにお粗末と思わないか。そんなことをしていると、植民地根性が浸みついてしまう。
ちょうど真逆をいっているのが、スイスである。スイス3大産業のひとつである観光業は、ずっと続いているスイスフラン高に加え、ホテル代をはじめとしてスイス旅行はやたらと高くつく。
それでも、高いコストをはるかに上回る満足感を味わえるから、世界中から観光客を引き寄せている。スイス観光業が隆々としている様子は、日本のインバウンド安売り指向と大違いだ。
■円安大合唱で日本経済弱まる