インバウンドが活況、だが「安売り日本」でいいのか

記事のポイント


  1. 外国人観光客の積極的な誘致、「インバウンド」が活況だ
  2. 円安により、訪日客にとって日本は「天国」のようだ。清潔かつ安全でもある
  3. インバウンド需要を取り込むのはいいが、「安売り」には走りたくはない

外国人観光客の積極的な誘致、インバウンドが活況となっている。ずっとデフレ気味だった日本は海外諸国からみると、ホテル代も食事代も恐ろしく安く、それでいて清潔かつ安全ときた。まるで天国旅行をしているかのように映る。そこへ円安もあって訪日客は、ごきげんそのものである。海外からの観光客が、お金を落としてくれるのは、日本経済にとってありがたい。地方経済の活性化にも大歓迎である。(さわかみホールディングス社長=澤上 篤人)

インバウンド需要を取り込むために「安売り」に走っていいのか

ただ、海外からのインバウンド需要を取り込むのはいいが、「安売り」に走りたくはない。外貨を稼ぐにあたって、ひたすら低賃金や円安を売りものにするなんて、あまりにお粗末と思わないか。そんなことをしていると、植民地根性が浸みついてしまう。

ちょうど真逆をいっているのが、スイスである。スイス3大産業のひとつである観光業は、ずっと続いているスイスフラン高に加え、ホテル代をはじめとしてスイス旅行はやたらと高くつく。

それでも、高いコストをはるかに上回る満足感を味わえるから、世界中から観光客を引き寄せている。スイス観光業が隆々としている様子は、日本のインバウンド安売り指向と大違いだ。

円安大合唱で日本経済弱まる

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sawakami

澤上 篤人(さわかみホールディングス社長)

さわかみホールディングス社長。1973年、ジュネーブ大学付属国際問題研究所国際経済学修士課程履修。1980年─1996年、ピクテジャパン(現・ピクテ投信)代表。1999年に日本初の独立系投資信託会社さわかみ投信設立。

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キーワード: #インバウンド

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