記事のポイント
- ソニーグループは25年度までに「インクルーシブデザイン」を取り入れる方針だ
- 12月には自在にカスタマイズできるプレステ用コントローラーを発売する
- インクルーシブデザインの研修には新入社員から役員まで1千人以上が参加した
ソニーグループは9月14日、サステナビリティ説明会を開いた。2025年度までに、原則すべての製品やサービスで「インクルーシブデザイン」を取り入れ、当事者の声を反映させる方針を表明した。12月には、身体機能に障がいのあるゲーマーなどが自在にカスタマイズできるプレイステーション用「Accessコントローラー」を発売する。(オルタナ副編集長=吉田広子)

ソニーグループは、パーパスとして「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」を掲げ、DEI(多様性、公平性、包摂)に取り組んできた。2025年度までに原則すべての製品やサービスで「インクルーシブデザイン」を取り入れることを目指す。
例えば、23年2月には、ロービジョン者向け「網膜投影カメラキット」を発売した。視力に依存せず、カメラがとらえる景色を網膜に投影して撮影できるカメラだ。

身体機能に障がいのあるゲーマーなどが自在にカスタマイズできるプレイステーション用「Accessコントローラー」は、23年12月に世界で同時発売する。
こうしたアクセシビリティに対応した製品・サービス開発を進めるために、ソニーグループは視覚や聴覚、身体など様々な障がいがある人と行動をともにし、対話を重ねるワークショップを開催。22年度末までに新入社員から役員まで1千人以上が参加した。
ソニーグループのシッピー光・サステナビリティ推進部シニアゼネラルマネジャーは「世界には制約がある人13億人いる。なるべく多くに人に楽しんでほしいという思いがあり、商品開発の初期段階に当事者の声を取り込んでいく。各事業部で責任者がアサインし、指標について検討している最中だ」と話す。
「社会的障壁を取り除くのは社会の責務である」という考え方「障がいの社会モデル」は国内外で広がっている。
2019年1月に開催されたダボス会議では、ビジネスの力で障がい者インクルージョン(包摂)を推進する世界的ネットワーク「The Valuable 500」(V500)が発足した。現在、グーグルやP&Gなど、世界41カ国から500社が参加している。
ソニーグループは日本で唯一「アイコニック・リーダー」(象徴的リーダー)に選ばれた。
同社の神戸司郎執行役専務は、「サステナビリティの経営統合に取り組んできたが、社会環境が変わるなかで、新しい課題も出てくる。環境の領域では、環境計画『Road to Zero』に取り組んでいるが、スコープ3の把握や削減は、ビジネスパートナーも含めてどう取り組んでいくかが課題だ。人権、社会に関しても、まだまだ改善の余地がある」と語った。