テラモーターズ、150kW充電器を都内1000ヵ所に無料設置へ

記事のポイント


  1. EVベンチャーのテラモーターズが、都内1000ヵ所に急速充電器を設置する
  2. 出力は従来の約3倍の150kWで、充電速度などのボトルネック解消へ
  3. 設置費用などはテラモーターズが負担し、充電インフラの早期拡充を目指す

EVベンチャーのテラモーターズ(東京・港、上田晃裕社長)は9月26日、東京都内約1000ヵ所に急速充電器を無料設置すると発表した。設備費や工事費をテラモーターズが負担することで実質0円の導入を可能にし、機器の出力をこれまでの約3倍の150kWとすることで、充電速度などEV普及のボトルネックとなっている課題の解消を目指す。(オルタナ副編集長・長濱慎)

150 kW機でデモンストレーションを行う徳重徹・テラモーターズ会長(9月26日、都内の発表会で)

■EVの航続距離延伸に対応した150 kW機

電気自動車(EV)の充電器には、主に家庭に設置する普通充電器(3〜6kW)と、ドライブ経路にある商業施設や高速道路に設置する急速充電器(20kW以上)の2種類がある。後者の急速充電器は国内では50kWが主流だが、テラモーターズはさらに高出力な150kWタイプを導入する。

150 kW機は複数の機器メーカーと共同開発したもので、6分で約100km(東京・大手町〜神奈川・箱根に相当)の充電が可能だ。徳重徹・テラモーターズ取締役会長は、150kWにした狙いをこう語る。

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「近年のEVはガソリン車なみの航続距離を目指し、バッテリーが大型化している。この傾向は今後5年〜10年でさらに進むと予想され、それに見合った充電インフラが必要になる。アジアを含む海外の急速充電器は120〜160kWが主流で、日本の充電インフラには変革が必要だ」

■都内ガソリンスタンドと同数の1000ヵ所に設置

150 kW機は東京都内の商業施設や公共施設、コンビニ、ホテルなど1000ヵ所への設置を目指す。1000ヵ所は都内のガソリンスタンド数とほぼ同じで、充電器が近くにないというユーザーの心理的負担をやわらげるのが狙いだ。

充電器の設備費や工事費、電気代、メンテナンス代はテラモーターズが負担し、サイトオーナーの費用負担を実質0円とすることで普及促進を狙う。すでに家電量販店を展開するコジマとの提携が決まっており、他の企業との提携についても順次発表していくという。

テラモーターズは2010年の設立で、アジア地域でのEV2輪車やEV3輪タクシーの販売を中心に事業を展開してきた。充電インフラ事業には2022年4月に参入し、すでに都内を中心とする1200ヵ所以上に普通充電器(3.2~6kW)を設置している。23年6月にはさらなる事業拡大を目指し、第三者割当増資などで総額40億円の資金を調達した。

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長濱 慎(オルタナ副編集長)

都市ガス業界のPR誌で約10年、メイン記者として活動。2022年オルタナ編集部に。環境、エネルギー、人権、SDGsなど、取材ジャンルを広げてサステナブルな社会の実現に向けた情報発信を行う。プライベートでは日本の刑事司法に関心を持ち、冤罪事件の支援活動に取り組む。

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キーワード: ##EV

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